給料日と家計

給料日前になるとお金がない。
が毎月続くときに見直すこと

給料日の1週間前、口座を見て「今月もカツカツだ」とため息をつく。給料日が来るとほっとして、少し余裕のある気持ちで過ごす。そしてまた月末に苦しくなる。この繰り返しに心当たりがあったら、まず伝えたいことがあります。

それは、あなたの意志が弱いからではありません。多くの場合、原因は「月の前半に引き落としが集中していて、口座の残高が『使えるお金』より多く見える」という構造にあります。構造が原因なら、直すのは根性ではなく見通しです。順番に見ていきます。

なぜ給料日前に苦しくなるのか

給料日の直後の口座には、確かにお金があります。でもその中には、もう行き先が決まっているお金がたくさん混ざっています。家賃、カードの請求、光熱費、通信費、サブスク。これらは月の前半に順番に引き落とされていきます。

つまり給料日の翌日に見える残高は、「使えるお金」ではなく「これから減っていく途中の数字」です。ここを使えるお金だと感じたまま月の前半を過ごすと、後半に残るお金が計算より少なくなる。給料日前の苦しさは、月のはじめに作られているのです。

とくに効いているのがクレジットカードです。カードは「使った月」と「引き落とされる月」が1〜2ヶ月ずれます。先月がんばって節約しても、今月の引き落としには先々月の出費が来る。この時差が、感覚と残高のずれをさらに大きくします。

最初の一歩:引き落とし日を全部書き出す

やることはシンプルです。毎月の「入ってくる日」と「出ていく日」を、日付つきで全部書き出す。それだけです。

  1. 給料日(複数の収入があれば全部)
  2. 家賃・住宅ローンの引き落とし日
  3. クレジットカードの引き落とし日と、いつもの請求額
  4. 光熱費・通信費・保険・サブスクの引き落とし日
  5. 現金やコード決済で使う、だいたいの生活費

書き出す場所は紙でもメモアプリでもかまいません。ポイントは金額より日付です。「何日にいくら出ていくか」が並ぶと、月の中のお金の流れがはじめて見えます。

モデルケースで月の中を見てみる

手取り24万円・25日が給料日・ひとり暮らしのケースで、月の中の残高を追ってみます。前月からの繰り越しは5万円です。

日付動くお金残高
25日給料 +24万29万 ← 多く見える
27日カード請求 −8万(先月〜先々月の買い物)21万
1日家賃 −7万14万
10日ごろ光熱費・通信・サブスク −2.5万11.5万
〜24日食費・日用品など −6.5万5万(翌月へ繰り越し)

給料日の残高は29万円でしたが、行き先の決まったお金を引くと、この月に本当に使えるのは11万円ほどでした。給料日直後の「29万円ある」という感覚で最初の2週間を過ごすと、後半に残るお金が細るのは当然です。逆に、この表が頭に入っていれば「25日の残高は多く見えているだけ」と分かって、月の後半に慌てなくなります。

この「月の中の見通し」は一度作ればほぼ毎月使い回せます。固定費の日付と金額は、そう頻繁には変わらないからです。

構造を直す3つの方法

どれも「節約しよう」という話ではないことに気づいたでしょうか。使う金額を変えなくても、見え方を実態に近づけるだけで、給料日前の苦しさはかなり軽くなります。そのうえで削るところを考えたい場合は、固定費(通信・保険・サブスク)から見るのが定石です。

今日からのチェックリスト

  1. 毎月の引き落としを日付つきで全部書き出す(15分で終わります)
  2. 「給料日の残高」から「行き先の決まったお金」を引いて、本当に使える金額を出す
  3. カードの引き落とし日と締め日を確認する(時差の正体を知る)
  4. できそうなら、給料日に貯金ぶんを先に取り分ける
  5. 月の中の見通しを、カレンダーの上に置いて眺められるようにする

よくある疑問

Q. 家計簿をつけたほうがいい?
毎日の記録が続くなら力になります。でも、給料日前の苦しさに効くのは過去の記録より先の見通しです。固定費の日付と金額さえ書き出せば見通しは作れるので、記録が苦手でも大丈夫です。詳しくは家計簿が続かない理由に書きました。

Q. ボーナスで毎月の不足を埋めているのですが。
それ自体は珍しいことではありません。ただ「毎月いくら足りていないか」を数字で知っておくと、ボーナスが減ったときの備えになります。ボーナスの手取りの目安はボーナスの手取りの記事にまとめています。

Q. 給料日前にお金が足りなくなったら、どうしのぐべき?
カードのリボ払いやキャッシングで埋めるのは、翌月の「行き先の決まったお金」を増やすので、構造をさらに苦しくします。今月をしのぐより、来月の見通しを先に作って、どこで詰まるかを見えるようにするほうが早く楽になります。

Q. 手取りが少なくて、見通しを立てても余りが出ません。
見通しは魔法ではないので、収支そのものが厳しいときは削るか増やすかの話になります。それでも「何日にいくら足りなくなるか」が事前に分かるだけで、打てる手(支払日の変更、固定費の見直し)は具体的になります。まず見えるようにする、が最初の一歩なのは同じです。

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