未来の残高

教育費の見通しの立て方
遠い総額より、毎月いくらの話に変える

「子どもひとりの教育費は1,000万円以上」。この種の数字を見て不安になったことがある人は多いと思います。

でも、この数字はそのままでは家計の役に立ちません。18年かけて払うお金を一括の総額で見せられても、今月なにをすればいいのかが分からないからです。この記事では、教育費を「毎月いくら」の話に変える手順を、例の数字つきで説明します。

教育費は「節目」でやってくる

教育費の節目のタイムライン図。3歳ごろの入園、6歳の小学校入学、12歳の中学入学、15歳の高校入学、18歳の大学など進学、と節目が並び、大学がいちばん大きな山

教育費の特徴は、毎月一定ではなく節目にまとまってかかることです。そして節目の時期は、生年月日で最初から決まっています。金額は進路で変わりますが、時期は動かない。ここが見通しを立てるうえで最大の味方になります。

相場観のつかみ方

進路によって教育費は大きく変わります。目安として、幼稚園から高校まですべて公立の場合とすべて私立の場合では、総額に数倍の差が出ます。正確な調査データは文部科学省「子供の学習費調査」で公開されています。

ここで大事なのは、正確な総額を当てることではありません。「うちは公立中心でいくのか、私立も視野に入れるのか」というおおまかな方針を、早めに話しておくことです。方針が決まれば金額のケタが決まり、ケタが決まれば毎月の準備額が決まります。

「毎月いくら」への変換を計算してみる

変換の式はこれだけです。

毎月よけておく金額 = 節目に必要な金額 ÷ 節目までの月数

0歳の子がいる家庭で、実際に並べてみます。

節目時期用意したい額(例)毎月に直すと
入園準備3年後20万円約6,000円
小学校入学6年後15万円約2,000円
大学など進学18年後300万円(目標の例)約14,000円

表の金額はあくまで一例です。大事なのは、「1,000万円」という漠然としたかたまりが「月2万円ちょっとの決まったお金」に変わったことです。こうなれば、家賃や保険と同じように毎月の家計の見通しに置けます。

児童手当という強い味方

この積み立てには、最初から原資があります。児童手当です。金額や条件はこども家庭庁のページが正確ですが、月1万円前後が継続的に支給されます。

児童手当を生活費に混ぜず、そのまま教育費の積み立てに回す。これだけで、上の表の大部分がまかなえてしまう家庭は多いはずです。「教育費の準備、何から始めれば」の答えとしては、これがいちばんシンプルで強い一手です。

よくある疑問

Q. 18年分をいま全部考えないとだめ?
いいえ。家計の見通しとして本当に必要なのは次の節目までの視界だけです。そこまでの残高が並んでいれば今日の判断には十分。節目を越えたら、また次の節目までを見る。その繰り返しで18年は歩けます。

Q. 学資保険とNISA、どっちで準備すべき?
この記事では踏み込みません。どの器を選ぶにしても、まず「いつまでに・いくら・毎月いくら」をはっきりさせておくと、器の比較がしやすくなります。順番は器選びより先に金額の設計です。

Q. 塾代はどう見ておけばいい?
家庭差がいちばん大きい費目です。文部科学省の調査では「学校外活動費」として集計されています。通い始める時期(小学校高学年〜が多い)だけ頭に置いて、その時期が近づいたら月々の固定費として見通しに足すのが現実的です。

Q. 途中で方針が変わったら?
変わって当然です。見通しは一度作って終わりではなく、節目のたびに引き直すもの。「私立に変えたら月いくら変わるか」がすぐ計算できる状態にしておくことが、備えそのものです。

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